基本と応用

基本がなってないと応用ができない。


よく聞くフレーズです。
算数の基本問題と応用問題、難しいのは応用問題ですね。
基本問題もできないのに、応用問題ができるわけがない。



でもそれって逆じゃないですか?と最近思うのです。
つまり、応用ができてないと基本ができない。


そら、算数の問題を解くときなら、「基本ができてないと応用ができない」でいいのです。
でも、算数の問題を解く人がそんなに居ますか?
実際に直面する問題は「基本」が分からない問題なのです。
つまり、「応用」しか見えていません。


別の言葉を使うならば、
応用が表面
基本が本質
となるわけです。



物理学でいえば、
応用が現象
基本が法則
(基本の基本が原理)
となるわけです。



噛み砕いてみます。
簡単な例えを出しましょう。

リンゴは木から落ちるのに、月は空から落ちてこない。
なぜ?

ニュートン万有引力のお話です。


「リンゴは木から落ちるのに、月は空から落ちてこない。」というのは「現象」です。
これだけ見ていたのでは、万有引力に考えが及びません。
なので、
「高さが違うから、落ちてくるのに時間がかかるんだよ。」とか、
「高さが違うから、落ちるための力が届かないんだよ。」とか、
そう言うことを言い出す可能性もあるわけです。


もし、高さが問題ならば、もっと近くならばどうか(低ければどうか)。
例えば、人工衛星は落ちてくるのか?
それに答えることはできないのです。


応用はできている(「リンゴは落ちてくるのに、月は落ちてこない」という事実を知っている)のに、
基本は分からないのです。


しかし、基本だけできていればいいかと言うと、そう言うことでもありません。
なぜなら、いろいろな数字を知らないと応用できないからです。
つまり、万有引力の法則を知っていても、月の重さや運動のスピードを知らないとなぜ月が落ちてこないかを説明できないからです。
基本はいろいろな応用を包括しているので、当たり前と言えば当たり前です。
確かに基本だけど、実際には使えないなあ、という基本もあるわけです。


更にいうならば、万有引力の法則では「なぜ万有引力が存在するの?」という疑問には答えていません。
その説明は一般相対性理論に踏み込むことになるので割愛します。(というか説明できません。)
つまり、基本と思われるものにも、更に基本があるのです。
しかも、基本になればなるほど見えにくくなります。

まとめると、

  • 応用の方が見えやすい。実際に即している。
  • 基本の方が見えにくい。実際には使えない場面も多い。


例えば、人狼においても、
「3人部屋では狼は噛む傾向がある」とか
「用済みカウンターは吊り」とか
いろいろな法則らしきもの(セオリー)があります。
これは基本だと思われがちですが、応用と取ることもできます。

つまり、「これらの法則って、なぜ法則として成り立っているの?」ということです。
よく言われている法則、セオリーには何らかの根拠があってセオリーになっているのです。
それは何でしょうか。
それを考え出すと、人狼はさらに面白くなるのです。










ちなみに、万有引力の法則は次のように与えられます。
それぞれ質量m_1m_2を持つ2つの質点が距離r離れているとき、
その2つの物体が引き合う力Fは次式で与えられる。
F=G\frac{m_1 m_2}{r^2}
ただし、G万有引力定数である。
(万有引力 - Wikipediaなどを参照のこと。)


この法則と運動方程式を用いることで、月が落ちてこない理由が説明できます。